岩田食品様 - ベルトコンベアで繋がる共同体制で惣菜物流をバックアップ
愛知県に本社を置く惣菜製造会社・岩田食品株式会社様に、エブリー24との30年以上にわたるパートナーシップと、中京スーパーハブセンター での革新的な物流体制についてお話を伺いました。
佃煮から惣菜へ、時代を先取りした事業拡大
貴社の事業概要と、惣菜製造における特徴についてお聞かせください。
当社はスーパーのデリカコーナーや百貨店、駅ナカなどで、揚げ物・米飯・お惣菜の製造・販売を行っております。また、サラダ・和惣菜の総合食品メーカーとして量販店を中心にチルド惣菜の展開、さらにチルド惣菜のノウハウを活かした日持ちする 袋惣菜の商品開発も手掛けています。
元々は佃煮を主力としていた企業でしたが、2代目の社長が1980年代に「これからの時代は、共働きが増えて家庭で料理をする機会が減るのではないか」と考え、 日持ちの長い佃煮から、家庭で毎日作るようなお惣菜に特化した製造を進めるにあたり、新しい工場を建設しました。
現在は3代目の社長が率いており、SKUを含めると1,000品目以上の商品を展開しています。スーパーの惣菜売り場に並んでいるポテトサラダやマカロニサラダ、和惣菜ならきんぴらごぼうなど、お惣菜売り場にある商品は全て作れる機能を有しています。

デリカコーナー拡大に伴う物流課題

自社物流から委託への転換
エブリー24との取引開始の経緯についてお聞かせください。
1990年頃、デリカコーナーへの出店拡大に伴い、自社で行っていた各店への仕分・出荷を委託したのがきっかけです。
ダイセー陸運時代にお取引をしていたことがきっかけで納品を始めました。従来の自社製造・ルート販売という営業スタイルから、メーカーとして製造に特化し、配送は配送会社に委託するスタイルに変わっていきました。
共同配送ネットワークの創生
エブリー24の共同配送ネットワークとの関係について教えてください。
エブリー24の担当者様に伺ったところ、今の配送ネットワークができる前の共同配送は、岩田食品のお惣菜を運ぶのがスタートだったそうです。「岩田食品の惣菜を運ぶのと一緒に」という形で共同配送ネットワークができており、そうした経緯からも密接な関係性を続けています。
製造拡大に伴うスペースと効率化の限界

急務だったスペース・人材の確保
導入前にはどのような課題を抱えていらっしゃいましたか。
業務拡大によるスペース・人材の確保が急務でした。岩田食品もどんどん生産量が増えていき、工場が手狭になってきました。物流面で業務委託が行えた結果、製造・販売に集中して取り組むことができ、品質の向上にもつながりました。
また、販売拡大に向けてリードタイムの短縮が必要でした。私たちの扱っている商品は、出荷日の当日から原料の加工が始まります。日持ちが短く、店舗に着いて1〜2日という商材は日付が変わってからしか作れません。非常にタイトなスケジュールで原料の加工から煮炊き、パック詰め、出荷までをしないとお客様に届けられないという特性があります。
共同配送による効率化と少ロット対応
全国展開を支える物流ネットワーク
エブリー24を選択された決め手についてお聞かせください。
共同配送による物流ネットワークが構築されており、少ロットでの配送が可能な点が強みだと思います。より全国のお客様へ商品を供給する物流網が必要でした。
私たちの販路は東は群馬、西は広島まであるのですが、愛知県の一宮から作って出荷し、納品までできているのは、このような仕組みがないとできません。遠隔地まで運んでいただくために、エブリー24の協力がなければ出荷ができないと言っても過言ではありません。
ベルトコンベアで繋がる革新的な物流体制

中京スーパーハブセンター(以下、中京SHC)での独自体制構築
中京SHCでの取り組みについて詳しくお聞かせください。
中京SHC の隣にある生産工場から、パックセンターへの原料供給はベルトコンベア を設置していただき、製造された原料がすぐにパック詰めできる環境が整いました。実際に建物もベルトコンベア で岩田食品とエブリー24と繋がっているという点で、企業対企業が一緒に繋がってやるというのはあまり類を見ない関係性だと思います。
中京SHC ができた時に作っていただいたもので、元々岩田食品が中京SHC の3階に入るという計画で設計が始まり、設計の段階からベルトコンベアで繋げることや、3階の衛生環境を岩田食品のニーズに合わせて作るという形でした。これは長年の信頼関係があってこそだと思います。
デジタルピッキングシステムによる効率化
デジタルピッキングシステムの導入効果について教えてください。
商品は和・洋惣菜全般を取り扱っております。多品種の出荷にも対応できるように、デジタルピッキングシステムを使用した仕分作業を行っていただくことによりタイトな納期時間にも対応をしてもらっています。
岩田食品は1日8万パック、多いと10万パックぐらいの仕分けをしているので、このようなデジタルシステムを導入することで生産性が上がりミスが減ります。バーコードを読み込むと画面に必要な個数が全て表示されるので、その画面だけ見て商品を入れていくだけで良いのです。作業時間が短縮でき、作業する側としても非常にやりやすくなりました。
生産能力の倍増を実現
具体的な成果について教えてください。
パックセンター移管により10万パック製造可能な体制が構築でき、当初の約2倍の出荷量を対応することが可能となりました。
元々岩田食品の本社にパックセンターがあったときはレーンが7〜8本程度でしたが、中京SHC に移管した後は13〜14本に増えました。当時 の本社パックセンターの生産量は5万 パック後半が限界でしたが、今ではアベレージで9万弱、多い日は10万、11万パックほど出荷できます。
生産・物流の効率化により出荷量が増加しても、品質を維持できている点を大きなメリットと感じております。
密接な連携による継続的改善
物流会議を通じた品質向上
現在の運用体制について教えてください。
物流会議では、岩田食品の物流担当とエブリー24の営業だけでなく、製造の担当者や業務の担当者など、他のメーカーではあまり参加しない方々も加わっています。出荷する前から一緒に「この方が効率が良いのではないか」「こうしたらどうだろう」といったことを現場レベルで話し合えるからです。
相互理解に基づく改善活動
物流会議での特徴的な取り組みについて教えてください。
一般的には岩田食品からエブリー24に対して要望を出すことが多いと思いますが、物流会議では岩田食品の製造担当者が物流担当者に向かって「こういうふうに直さないとエブリー24さんが大変だから」と言うようなこともあります(笑)。これも信頼関係があるからこそで、なかなか見ない光景ではないかと思います。
どこがボトルネックになっているかを考え、それを解決しないと品質向上につながらないという認識があります。製造側の思いと発送側、仕分け作業側の思いをつなげながら品質を良くしていこうというのが狙いです。
物流クレームの集計も行い、会議の場で件数を報告していますが、今年は去年の半分程度に減っており、それが品質向上につながっていると感じています。
共に成長する関係性
事業拡大を支える物流体制
エブリー24との関係性について教えてください。
私たちの会社が大きくなれたのは、エブリー24の配送網があってのことです。私たちは大阪にも東京にも支店工場を持っていますが、例えば関東方面の集荷先のためのパックセンターもエブリー24の厚木ハブセンターの中にあります。
岩田食品が成長するために一緒に協力いただいているのがエブリー24だと思っています。サポート面において柔軟な対応を取っていただけている点は感謝しております。
全国展開と新商品開発への挑戦
日持ち商品による新たな市場開拓
今後の展望についてお聞かせください。
課題としては全国に向けた商品供給となります。当社では賞味期限のより長い商品の開発・商品化に取り組んでいます。2025年8月に「プチ・デリ」という新商品を発売しました。これはお惣菜売り場ではなく、日配コーナーで販売する、賞味期限が60日前後の商品です。
個食タイプのパッケージ型サラダで、お客様は買って冷蔵庫に保管しておけば数週間日持ちするので、食べたいときにすぐに食べられます。現在は中部圏を中心に展開していますが、今後は、より全国に配送できる体制を整えています。

関東エリアへの展開強化
今後のパートナーシップについてお聞かせください。
関東エリアは人口が多いエリアですが、現在は生産キャパシティの問題で、商品を供給できないお客様が多くいらっしゃいます。そこに向けた対応として設備投資が必要ですが、より関東のお客様に商品を供給できるようになった際に、配送もぜひエブリー24にお願いできれば嬉しいと思っています。
地場で培った共同配送の仕組みを全国展開できるような配送網を作り上げていただけたらうれしいです。
切っても切れない関係から生まれる相乗効果
共存共栄の関係性
長期的なビジョンについてお聞かせください。
お互いに歩調を合わせて成長してきた、確固たる関係性があります。現在、エブリー24中京SHC の3階フロアはほぼ岩田食品が借りている状態ですし、将来的にはそれを拡大していきたいと思っています。
本当に隣接しているので切っても切れない関係です。これまでも私たちの事業に合わせて設備投資もしていただいたので、これからも一緒に会社を大きくしていきたいと思っています。
※本記事は2025年9月に実施したインタビューを基に構成しています。