江崎グリコ様 - コロナ禍に芽吹いたパートナーシップ。「新たな物流」を共創
江崎グリコ株式会社様に、エブリー24との10年以上にわたるパートナーシップ、そしてその先に拓かれた「縦型共同配送」という物流の新概念について、江崎グリコ株式会社 ロジスティクス部 坂和夫さんにお話を伺いました。
4温度帯・全国13工場で支える、日本を代表する食品メーカー
常温・定温・低温・冷凍——4温度帯を貫く品質管理
貴社の事業概要と、物流面での特徴についてお聞かせください。
弊社は常温・定温・低温・冷凍の4温度帯で事業を展開しています。レトルト、チョコレート、プリン、アイスといった製品ごとに、温度・湿度・臭気・照度・振動など、厳しい管理基準で品質を担保しています。
全国13の自社工場で製造される製品は、コンビニエンスストア、ドラッグストア、スーパー、卸売業など全国の販売チャネルへ配送しています。特にチルド日配品は、コンビニで発注から3〜5時間、スーパーでは5〜8時間という短いリードタイムで対応する必要があり、業界の中でも極めて難易度の高い領域です。
コロナ禍の物流危機が結んだ、10年来の信頼の絆
物流危機から始まった緊急のSOS
エブリー24との直接取引が始まったきっかけを教えてください。
エブリー24さんとの直接取引が始まったのは、2021年4月、コロナ禍真っただ中のタイミングです。きっかけは、岐阜県の出荷拠点で行っていた店別ピッキング業務などが、物流危機に直面して立ち行かなくなりそうになったことでした。スーパーなど得意先別に商品を仕分けるピッキング作業ができなくなりそうな状況で、一宮にあるエブリー24さんに相談したのが始まりです。
10年前のトラブル対応で芽生えた信頼関係
最初の出会いはもっと以前だったと伺いました。
実は営業担当の松永さんとの接点は、約10年前にさかのぼります。岡崎にあるエブリー24さんが運営する弊社得意先のセンターで出会ったのが最初です。一緒に顧客対応をした経験を通じて信頼関係が始まりました。
その場で松永さんから、各エリアでハブセンターを運営してさまざまな取り組みをしているという話を伺ったのです。各エリアにハブがあるのは物流効率化につながる――と感じました。コロナ禍で危機が訪れたときに真っ先に思い浮かんだ相手がエブリー24さんだったのは、この10年の蓄積があったからに他なりません。
前例なき3カ月のリモート契約締結という挑戦
動画と画面共有で詰めた、未踏のリモート交渉

緊急対応として、どのようなプロセスで導入を進められたのでしょうか。
実はリモートで契約締結することは、過去に一度も経験がありませんでした。コロナ禍で直接お会いすることができないため、すべてリモートで進めるしかなかったのです。ピッキング作業を動画で撮影してエブリー24さんに送ったり、写真で詳細を説明したり、PCの画面を共有しながら説明することもありました。
最初の相談から基本契約の締結、実稼働まで、リードタイムは大体3カ月。非常に短かったです。ヒヤヒヤしながら進めましたが、一発で切り替えが成功しました。
「他社さんという感覚がない」10年の信頼が支えた挑戦
試行期間もない中で、リモートで精度高く詰めていくミッションは難しさがあったのではないでしょうか。
みんなかなり不安はありました。ただ、実際にやってみると意外とリモートでもいけるなと。今までわざわざ対面で2時間も3時間もかけて移動してやらなくてもできるなと、初めてそこで確信しました。ただ、10年来の信頼関係があったからこそ、前例のない取り組みを進めることができたのだと思います。
私の感覚としては、「他社さん」というよりも「同じ会社の人と一緒に仕事をしている」感覚でした。それぐらいの信頼関係ができあがっていたのです。
グリーン物流優良事業者表彰へ、東海地区配送の構造改革
毎日トラック47台から34台へ、約28%の削減を実現
令和4年度のグリーン物流優良事業者表彰を受賞されました。エブリー24との取り組みはどのように評価されたのでしょうか。
AI配車が注目されましたが、実は物流効率化の本当の影の主役は物流構造改革でした。岐阜DCを中心とした東海地区配送について、エブリー24さんのハブセンターに店別ピッキングを集約することで、直送ドライバーの待機時間が解消され、配送コースの集約と配送効率が同時に実現できました。
当時は、トラック台数は毎日47台から34台に、約28%の削減です。毎日13台減らせたのは大きな成果でした。AĪ配車によるコース再編データは参考としましたが、実現は、エブリー24さんをはじめとする知識を活かしての協力体制が最大の要因でした。

【発表資料】2025年度グリーン物流パートナーシップ発表資料(江崎グリコ株式会社)更新20251127-2-1.jpg)
店別ピッキングから共同配送へ広がる協働の領域
当初は店別ピッキング業務委託から始まったとのことですが、現在の取り組みはどのように変化していますか。
5年の間にセンター納品が主流となり、店別ピッキングは現在1件だけ残っている状況です。今は配送関係の効率化、特にエブリー24さんの強みである一宮、岡崎、亀山などのハブセンターを活用した共同配送の取り組みが中心になっています。これからどんどん拡大していきたいと考えています。
商流と物流のWin-Winを実現する、新しい共同配送モデル
「横型」を超える、お得意先との「縦型」物流
「縦型共同配送」というユニークな概念を提唱しています。詳細や背景、メリットなどを教えていただけますか。
一般的な共同配送は、同業他社と物流事業者が一つのセンターに商品を集めて配送する形です。これを私は「横型」と表現しています。これに対して「縦型」は、卸売業やスーパーチェーン、コンビニエンスストアといったお得意先との共同物流を指します。
縦型の最大のメリットは、商流でも物流でもWin-Winの関係になることです。グリコの商品を仕入れてくれるお得意先との関係性が売上面でプラスになり、同時に得意先の物流網を活用することで積載率もアップします。横型は物流効率化だけですが、縦型は商流と物流の両面でメリットがあります。
お得意先=エブリー24のハブセンターという最適解
その縦型共同配送が、エブリー24の特性と非常に相性が良いのですね。
そうなんです。エブリー24さんが運営されているハブセンターは、弊社のお得意先のセンターでもあるケースが多いんです。エブリー24さんの取引先センターに商品を運ぶと同時に、共同配送の荷物も一緒に届けて、そこをハブにしてエリア周辺の得意先に配送いただけます。最終的にはこの形を完璧にしたいと考えています。
データ連携不要、どこでも実現できる革新的な共配手法
【発表資料】2025年度グリーン物流パートナーシップ発表資料(江崎グリコ株式会社)更新20251127-1-1.jpg)
出荷拠点で完結する、システム連携いらずの共同配送
「パケット型物流」という独自の手法を提唱されていると伺いました。
通常の共同配送では、ハブセンターでデータ連携や仕分け作業が必要です。パケット型物流では、出荷拠点の段階で得意先ごとに商品を分けて梱包し、トラックに積み込みます。ハブセンターでは、そのカーゴの商品を行き先ごとのコースに混載するだけで共同配送が成立してしまいます。
WMS(倉庫管理システム)や基幹システムとのデータ連携が不要なので、どこでも共同配送が可能になる画期的な手法です。問屋さんでもチェーンスーパーの物流センターでも、場所を選ばずに実施できるのが最大の特徴です。
顧客対応から生まれた、大臣表彰受賞の縦型共同配送

卸売業センターで気づいた「緑ナンバー」からの逆転提案
令和7年度物流パートナーシップ優良事業者表彰で大賞(経済産業大臣表彰)を受賞された静岡での取り組みについて教えてください。
営業と一緒に静岡の卸売業さんに伺ったとき、センターの外に緑ナンバーの車がたくさん停まっているのに気がついたんです。卸売業さんが物流事業もやっているのではないかと推察しました。
静岡は元々岐阜と岐阜から両方向に車を出していたので、効率化できないかと考えました。訪問した理由となる用件はもちろん済ませた上で「共同配送を一緒にやりませんか」と提案を持ち出したら、「やりましょう」という話になったのです。
社会課題を共有しながら積み上げた、半数の協力
実現にあたって、得意先との調整は難航したのではないでしょうか?
得意先の納品時間と卸の配送時間がかみ合わないケースが多くありました。得意先に時間変更をお願いするため、物流危機や環境問題といった社会的課題を説明し、何度も電話して協力要請をしました。結果的に約半分の得意先が協力してくれました。卸売業のサンライズグランドフーズさんと物流を担うエージーエスさんも、時間調整できない部分を別の方法で運べるよう工夫してくれるなど、お互いが努力して実現したのです。
「仕事ではなく趣味の感覚」で挑んだ大賞獲得
大賞(経済産業大臣表彰)受賞という結果についての受け止めはいかがですか?
実は取り組みを始める前から、アイデアには自信がありました。チルド業界で縦型物流を実行できれば、協業メリットがどれだけ働くのか。それを確かめることができる、意義のある取り組みではないかと。みんなが同じ目標に向かって一致団結できたことが成功の要因でした。本当に経済産業大臣表彰の通知が来たときは、関係者の誰もが冗談だと思っていたようで、「本当ですか?」と驚かれましたね。
ここまで没頭できた背景には、「関係性の質」があります。私を含めて関係者の皆様に、仕事という感覚がなく、遊びや趣味のような感覚で取り組んでいました。だから疲れずとても楽しかった。松永さんとの関係性の中でも、そういう仕事が多くできていますので、これから2度目の大賞を狙えるような取り組みを一緒に検討しています。
全国規模のハブセンター網が可能にする、小回りの利く対応力
困ったときに「部分的にでも」応えてくれる柔軟性
数ある物流事業者の中で、エブリー24でなければできない理由はどこにあるのでしょうか。
小さい範囲での契約で動いてくれる業者さんは、なかなかいません。ある程度まとまった仕事でないと受けてくれないのが一般的です。エブリー24さんの場合、困ったときに相談すると、部分的に抜き取ってでも対応してくださいます。これは各エリアにハブセンターが全国規模であるからこそ可能なことです。
岐阜、愛知、静岡、大阪──どこで部分的に困ったことが起きても、担当者に電話すれば必ず助けてもらえます。エブリー24さんは全国どこでも対応可能であることも決定的な強みです。
中部地区の商品供給を支える、物流危機対応のパートナー
具体的にはどのくらいの規模を支えていただいているのでしょうか。
中部地区におけるチルド商品供給をエブリー24さんに担っていただいており、大切なパートナーだと受け止めています。過疎地や物流網が発達していないエリアのほか、既存の物流業者さんができなくなった部分をエブリー24さんの物流網で請け負って回していただいているため、エブリー24さんとの関係がなければ一部の供給がストップしてしまう状況です。物流危機対応として、非常に大きな価値があります。
縦型共同配送の先に見据える「物流シェアリング」の未来
業種を超えてリソースをシェアする、新しい物流の地平
今後、エブリー24と一緒に取り組んでいきたいことを教えてください。
「縦型共同配送」の次のステップとして見据えているのは「物流シェアリング」です。メーカーは午前中が忙しいけれど、スーパーのセンターは午前中が空いている。この時間帯のミスマッチを活かして、業種を超えて人・車・倉庫といったリソースをシェアできれば、もっと大きな効果が期待できると考えています。
東海エリアでは8月に予定されているコース再編の次のステップで、一宮・岡崎・亀山のハブセンターを最大活用した共同配送に取り組みたいと考えています。これからも縦型の領域をどんどん広げていきたいですね。
縦型共同配送の先に見据える「物流シェアリング」の未来
「他社さんではなく仲間」として歩む、両社の絆
最後に、両社の関係性について改めてお聞かせください。
緊急契約から始まった両社の関係は、経産省の表彰受賞、そして「縦型共同配送」「パケット型物流」という新しい物流概念の創出へと結実しました。コロナ禍に芽吹いた信頼関係が、今や物流の未来を切り拓く灯になりつつある――と感じています。

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